ちょっと朝早くバスに乗って2時間半。途中の田んぼはもう黄色く色づいています。
一時期より気温も下がって、ちょっと秋になってよかったなぁ、と思っていたのですが・・・。
さすがに大阪。外にでれば、日差しの無い所も室外機の前のような感じで、立っているだけでも汗。自然と移動するのは地下道ばかりでした。
しっかし、なぜか地下鉄構内になると、また異様な熱気が発せられているのです。直接冷房してなくても、地下街の店などからの冷気もはいっているでしょうに、あの暑さったらいったい・・・!
いろいろ買い物をすませ、宿へ向かう地下鉄に乗ろうと2時ごろの大阪駅を縦断。
熱中症って、こういう所でなるんだろうなぁ、と再確認しつつ、とにかく行き場の無い、その熱気から抜け出したい一心で、重い荷物を両脇に抱え、歩き続けるしかありませんでした。
大阪駅周辺ではたくさんの外国人や、ユニフォームを着た方々を見かけました。
実は、今回の旅で、私も世界陸上に参加したかのような体験をしたのですが、それは1年後ぐらいになったらバラすことにしましょう。1年たってもバラさなかったら、ツッコミください。(笑)
宿でちょっと休んでから出かける時、ロビーで思わず「梅田スカイビル」の優待券を手に取っていました。時間があれば、夜に行ってみるか、と。
さて、いよいよ「グチック考13」を見に、南森町へ。
行く前からどちらから伺うか迷いましたが、やはりGallery wks.から伺いました。
長く、かなりオープンエアな廊下には、強く西日が当たり少しオレンジ色。
前の週、氏はH.O.Tの方に居ることが多かったようだったので、それもあり、wks.から伺ったのですが・・・
白いドアを開けると、そこでいきなり山岡氏とお会いすることができました。
半年ぶりにお会いする氏は、体の曲線具合にさらに磨きがかかっていらっしゃいました。
wks.の白い部屋は2月に伺った時よりも薄暗く、閉ざされた狭い空間となっていました。
さっそく奥の空間を、手前にある壁から拝見。
白い厚い壁を挟んで、薄暗い空間の向こうにある黒い塊。
なんだかやわらかく、ふくらんでいるような。風が吹いているかのような。
でも、もしかしたら、それはとても重たく、今にも飛び出す時をうかがっているかのような。
氏から説明をうけながら、さらに反対方向から眺めてみたり。
見る角度によっても、目にする光景がどんどん変わっていくのでした。
ちょうど肘をついて見られる高さの壁にもたれつつ、その空間の心地よさにしばらくじっと眺めていたのですが、ふと、
「あれ?私、こういう所に、よく居たことがあるなぁ」と
気づき始めていました。
私は、20代の頃、ちょっと高い場所、特にビルの最上階にある「展望台」にあがってみるのが好きでした。
その頃は都庁やランドマークタワーといった高いビルが出来はじめた頃で、
勤め先だった水道橋にも高い庁舎が出来、夜もよく見に行っていました。
エレベータで登り、展望台から臨んだ一面ビルや家ばかりの関東平野。
広島で、近所のアパートの踊り場から見下ろした自分の家や町内。
東京で働いていた頃、ビルの上から見た、ひっきりなしに人の行きかう道路。
京都に居た頃、「そこへ降りてみれば、いいのかもしれない。」と、降りてみようとしたあの場所。
そういう様々な個人的な体験を思い出してきたその時、
目の前に広がるwrksの床がとても深い深い底のように思えてきました。
「怖い、怖い」と思わず言葉に出して驚いていました。
大学時代から、そして神戸で再びお会いして以来、何回か個展やグループ展で山岡氏の作品を見てきて、DMやサイトから、今回の作品がどのようなものか、ある程度予想はしていたつもりでした。
今まで見たものは、その形や質感のかもしだす、山岡氏のユニークな世界をこちらも追いかけている、といった感じでしたが、
今回、実際の作品を見て、作品の中に入り込むだけでなく、その中で私の個人的な過去の空間体験を強く思い出した事は、私にとって思っても見なかった事でした・・・。
暗い空間を見終えて、後ろを振り返ると、大きな写真作品がひとつ飾られていました。
じっと見ていると、風景の感じがどうも「大阪」な感じがしないので氏に尋ねてみると
東京の、六本木の風景である、との事。
そこにそびえたつような、突き抜けて、どこまでも伸びていく黒い塔のような物体。
そこに建っているものは、今の日本を象徴するもの。
その空間を壊す、という事ではなく、そこにまた別の物体、存在を見せてしまう、
そういう象徴的なものとリンクさせる方法はどうなんだろう?と疑問に感じはしましたが、次にその場所へ行った時、私はこの作品を強烈に思い出さずにはいられないでしょう。
その写真を見て、また暗い空間に戻ってみたりしていると2つがリンクしてきて、暗い部屋の黒い物体が、さらに違った状況にあるものに見えてきたり。
氏とは、作品を見ながらその時に感じた事、思いついた事、思い出した事など、たくさんお話しました。
もうちょっとそこで眺めていたかったのですが、会場はあともうひとつあるのです。
日が暮れる前に、とwksを後にしました。
下界に下りて、すぐにH.O.Tには行かず、いつもここに来る度思っていた、南森町の探検をしてみました。
今まで、とっぷり日の暮れた頃に伺ってたのでなかなか探検できずじまいでした。
印刷関係の会社が多い感じで、そんな中、大変古い商家にデザイン事務所が入っていたり、喫茶店も私の子供の頃あったような雰囲気のお店もたくさんある、緑もけっこう多く、打ち水がとてもよく似合う町。
路地を曲がってまた元にもどり、また他を入ってみたり、としばらく暑さも忘れて、行ったりきたり。
どんどん方角がわからなくなってきたところで、もとの道をたどり、いよいよGallery H.O.Tへ。
探検している間に、シャッターがちょっとだけ閉まりかけていたので、急いで入っていきました。
Gallery H.O.Tには、もう3,4回ほど伺っているでしょうか。
入っていくと、向こうから
「ああ!はにぃさん、いらっしゃいませ!」と
ギャラリーの方が出迎えてくださいました。いつも、ありがとうございます。
こちらでの展示も、事前にかなり全体図を想像していたつもりだったのですが・・・
ご覧になった方、みなさん思ったでしょうけど、もう、
「ヤラレタ!」な展開がそこにあったのでした。(「ARTWORKS#3」Gallery H.O.T installation view参照)
入って正面の壁に、黒い四角形、グチックの一部。
室内がいつになく明るく感じるので、その黒い四角形は見ただけでは平らな、吸い込まれそうな四角にしか見えないのです。
目が悪いからこう見えちゃうのかな、と移動してみますと、その四角形の中に、少しずつ形が現れ始め。ひとつひとつ、なでてみたいようなカタチ。
今回、氏いわく「アンタッチャブル」なラインが引っ張られていたため、その黒い四角形には80センチぐらいまでしか近づけないのです。
その事で、これまでの作品以上にその黒い四角に「触りたい」って思ってしまうのですが、でもそのラインのおかげで、「見る」って事がどういう事か、気づかせてくれる、微妙な距離感。
会場左手の壁面に、wrksとH.O.Tの関係を表す作品が飾ってあるのですが、それを見るとさらに、「あの四角を押してみたい」と思い始めたり。
あの「グチックの先」には、なんだかニヤッとさせられたのでした。
黒い四角と向かい合わせの、フォトエスキース。(「ARTWORKS#2」参照)
前に私のサイトでも載せた事がありましたが、「SONEZAKI」などは、もう、あの場所に立つと、この写真の状況しか思い出せなくなるんですね。今日もそうでした。
それでも、私がそこで見るであろう「グチック」的なモノと、この「グチック」とでは、実は全く違うのだろう、と。
黒の色も美しく、どんな所に「グチック」が現れるのか、それも楽しみになってくるのでした。
H.O.Tには大変長居させていただきました。
オーナーさん、オーナーさんの弟さんともたくさんお話させていただきました。
ありがとうございました。
を、この後賞味した訳ですが、長くなったので28日づけ日記に書きます。
読まずにツッコミ入れるのもなんですが、3400円のさぬきうどんっていったい(^_^;)…そういえば世界陸上の余波(万博も練習会場として使用中)で、本日の脚vs鹿戦は金沢に飛ばされました(笑)
書いてないのにお答えするのもなんですが(笑)、そりゃ、すごい3400円の讃岐うどんだったんでございますよ。乞うご期待。 <br>旅の途中、思わずぴーさんに「大阪駅から長居、近いですか?」とか <br>「長居のまわりにうまい店ありますか?」ってメールしようとしたのですが <br>あまりの暑さに断念・・・ <br> <br>で、その金沢・・・そのお話はあえてお聞きいたしませんです。 <br>神戸も赤さんに負けましたし。来週ですよ、来週。 <br> <br>